齊藤寮ブログ:奇縁都市を行く

作家、役者、劇団リベラトリックス主宰の齊藤寮のブログ。SFやらファンタジーやら芝居やら。

『火星の人』と『オデッセイ』

書く話題に迷ったので、映画の話でも。

公開自体はすでに過去だが『オデッセイ』観ましたよ。
原作はアンディ・ウィアー『火星の人』。
火星に取り残された宇宙飛行士がたった一人生き延びるサバイバルもの。
原作は既読、メチャクチャ面白くてハマった。そして映画の監督はリドリー・スコット。そりゃ期待します。
が、期待するだけして劇場にはついに行かず、今になってDVDで視聴。


ネットで「火星版DASH村」とか言われていたが、確かにその通り。いや原作からしてそうなんですが。
原作の起こりまくるトラブルはある程度減らされスッキリ。まああれを全部やったら尺足りなくなるだろうし、それでも問題山積み感はバリバリ来る。
マット・デイモンはとにかく明るいオタクであるワトニーをしっかり熱演。特にあの序盤と終盤のあの肉体は凄い。たぶんCGじゃない。
それでも原作に比べ、シリアス感は増したか。まあ映画で「おっ○い!」とかは言えないか。
あと原作でちょっと引っ掛かった、ミッチ・ヘンダーソンの処遇が映画ではバッチリ○○になってた。だが演じたのがショーン・ビーンだったため逆に不憫に思えてしまう。
クライマックスに向かう途上で流れる音楽、特にデヴィッド・ボウイが泣けてくる。

まあ、つまり映画も大満足だったわけで。


で、その後に読んだのがジェフリー・A・ランディスの『火星縦断』。
これも火星に取り残された宇宙船クルーのサバイバルものだが、日本語訳の初版は2006年。
正直十年近くも前のものと比較するのもアレだが、火星の人を読んだ後だと物足りない、てのが正直な感想。
火星縦断にあるクルー間の疑心暗鬼や秘密、生存途中での新発見などのサイドストーリーが、余計な枝葉に思えてしまう。邪魔くさいのだ。

考えると、純度100%サバイバルとして成立させた火星の人はやはり抜きん出ていたということだろうか。

これ、読む順番が逆、つまりちゃんと時期に沿って読んでいれば良かったかもしれない。


おや、映画の話からずれたぞ。
ま、昨今はSF小説原作の映画が増えてきて嬉しい。

次は『メッセージ』観るか。